2014-3-17.18 丹沢(蛭ヶ岳)[一泊] [丹沢]
私が暮らす神奈川県の最高峰は、丹沢山地の "蛭ヶ岳(ヒルガタケ)" 標高1,673Mです。
この蛭ヶ岳、たいした標高ではないのですが丹沢山地の奥深くにある為、そこへ行くにはいくつも峰を越えてゆかねばならず、健脚な人でないと日帰りは難しい…。
ゆえに行った事がない、というかぶっちゃけこの目で見た事もない。しかし、やはり県民として(?)一度は行っておかねばなるまい (`・ω・´)シャキーン
という訳でまだ雪の残る3月、泊まりがけで行って参りました。
自宅から最寄りの百名山であるにもかかわらず、これまで足を向けなかったのはいくつか理由があり……
- 春 ヒルが怖い(丹沢のヤマビル問題)
- 夏 暑い(標高低いので)そしてヒルが怖い
- 秋 熊とスズメバチとやっぱりヒルが怖い
- 冬 雪山は怖い (´・ω・`) (南関東なのでそんなに降らないケド)
…という訳で、行くなら "雪が降る前の冬" か "雪が消えた後の冬" と決めていた…のだが。
ご記憶の方も多いだろう、2014年は年明けから雪が多く、東京でも大雪警報が2回も出る程だった。
もう春の足音=ヤマビルの足音(?)が近づいている、雪がかなり残っているがもう待っていられず若干の装備を買い足した上で丹沢へ向かったのであった。
1日目
朝の小田急線渋沢駅バス乗り場。本当はヤビツ峠から入りたかったのだが、凍結期間中はバスがない。
という訳で今回は、通称 "バカ尾根" と呼ばれる大倉尾根経由のピストンです。
バス待ちの間に登山届けを提出。
バスは30分に1本、大倉まで210円。
相変わらず平日なので人影もまばら。
…と思ったら、何やら駅の放送で電車が止まっているとかなんとか、 普段はもう少し人いるのかな?
結局バスに乗ったのは3人。まぁ、まだ雪も残ってるしね。
終点の大倉バス停にはすぐに着きました。
大倉バス停前には秦野戸川公園という大きい県立公園があり、表丹沢の情報を発信する秦野ビジターセンターもここにあります。
但し、公園駐車場はあくまでも公園利用者の為のものだそうですよ。(近くに登山者向け一般有料駐車場あり)
登山口までは10分とかからない、天気も良いので全然寒くない。
大倉尾根は大倉から塔ノ岳までのなが〜い尾根で、標高差は約1,200M。
難所などはまったく無いが、標高差は南アルプス仙丈ヶ岳や甲斐駒ケ岳を超える(北沢峠からの場合)。
あつい…(´・ω・`)、バス停ではいろいろ着込んでいたが、もうTシャツ1枚だ。
そして大倉尾根名物(?)の、かいだーん! 植生保護のため、この先たくさんあるよ。
そして長く続く階段は降りるときにヒザにくるのです、今回は対策として新たな山道具…
シナノのアンチショック機構付きのトレッキングポールを2本買って持ってきた。
2時間かかって山荘 "堀山の家" に到着、今日はお休み?。
大倉尾根の途中にある山荘はここに限らず、休日とか夏休みしか営業しない所が多いようです。
壁にこんなの貼ってある、ここ表丹沢の有名人。私も人づてに聞いた事がある、両腕を高々と上げる "チャンプポーズ" と超短パンがトレードマークだと…。
残雪が目立つようになってきたがまだまだ全然平気。
事前の情報ではこの先の花立山荘から上に雪が残っているとの事。
うー、かいだーん!ばっかり、バカ尾根の本領を発揮、降りる時の事を考えたくない。
12:20 約3時間で "花立山荘" に到着、ここも今日はお休み。
情報通りここから先は残雪が多そう。
とりあえずごはんにしよう。
ストーブon ストーブ
ここでトレッキングポールの先ゴムを外し、山用品店で買ってきた深雪用バスケットに付け替え雪山仕様に。
重く、締まった残雪なのでたぶん効くはず。所どころ土が見えてるのでアイゼンはまだいいだろう。
いざ、雪の上へ、おぉーなんか新鮮。
雪はすぐに深くなり、傾斜でツルッツルすべる(でも、ちょっと楽しい)。
いかん…三歩で二歩分しか進まん(笑) 限界だ。
2日前に買って来た。ミドルサイズのスパッツと、ちょっと大きめの軽アイゼンを装着。
ちゃんと家で練習してきたのでスムーズについたお (・ω・)。
"サクッサクッサクッ"…うへへ、なんか楽しい ヾ( ゚∀゚)ノ゙
程なく大倉尾根の終点、丹沢の人気No.1 塔ノ岳に到着。
ちなみに最後もかいだーん!だ。麓から4時間ちょっとかかった。
塔ノ岳 標高1,491M 首都圏から日帰りで登れる山として人気。
ここは晴れていれば展望が素晴らしいのです、今日はちょっと霞がかっていて残念。
前に登った "大山(おおやま)" 、頂上にアンテナ塔が立っているのですぐわかる。
山頂に立つ "尊仏山荘"。よほどの雪が降らない限り、冬でも開いてる通年営業。
丹沢ではここに限らず丹沢山の "みやま山荘" や蛭ヶ岳の "蛭ヶ岳山荘" も通年営業。
初めての雪山にちょうど良いかも…真冬に来てみようかな?
目的地の "蛭ヶ岳" が見える、まだまだ遠いなぁ。
明日も今日のように晴れるとよいのだが…
一通り写真を撮って本日の目的地 "丹沢山"へ向かう。
メジャーなルートなのでトレースもバッチリ。
塔ノ岳の北側斜面は急坂、しりセードを試してみたいが…飛び出しそうだ、やめておこう。
雪上の稜線歩き、ウヒョー気持ちいい!ヽ(*´∀`)ノ キャッホーイ!!
地面に雪が残っているだけで寒くないし、晴れてるし、風もないし最高だ!
ええと、丹沢山は…右の山かな?けっこう近いな。
………(´・ω・`)。でかいネコ?……イヤイヤ…KUMA。 ずいぶん新しい足跡のようだが……。
そうだよね、もう陽気はすっかり春だし。しまったなぁ、熊鈴持ってこなかったよ…。
まぁ、幸い見通しは利くし、前後に人の姿も見えてるし、熊の活動時間は朝と夕方って尾瀬で聞いたし。注意して進もう。
熊のトレースとともに丹沢山へ向かう、結局山頂まで足跡は続いていた。
トレースの重なり具合から見てこの日の朝に通ったのかな?
15:20 登りはじめから約6時間、"丹沢山 1,567M" に到着。
山頂は平らな広場みたいになってます…たぶん。雪で埋まってるからかも?。
振り返れば本日の宿 "みやま山荘" まだ新しいのかキレイ。
宿泊者は中のバイオトイレが使えます、小屋の隣にも神奈川県が設置したチップ式バイオトイレあり。
山荘の前は1Mくらいの積雪。
小屋の外にある洗面所は凍結のため使えなかった。
…それ以前に雪で埋もれて入れないけど。
「こんにちはー!」
夕焼けがキレイなら翌日は晴れと聞いた事がある、期待していいかな?
この "みやま山荘" は、食事に凝る山小屋なのです。
四季ごとにメニューは替わって、今の時期は "焼き肉" ですって。ヽ( ´¬`)ノ ワ~イ
おいしゅうございました。
この日の宿泊者は15人ほど、消灯は20:30でした。
2日目
部分的に青い空が見えているが、実は風が凄く強い、そして寒い。
小屋の前でいかにも山やさんといった感じのお兄さんと話す。
「いやぁ、動き出しちゃえば別に・・」、全く動じてない、さすがだ。
蛭ヶ岳を越えて西へ向かうというお兄さんは、スタコラと出発して行きました。
自分も出発の準備をしながら小屋の人に聞いた話によると…
「この山荘でバイトしたりしてるほんまもんの山やさん。」だった模様。
どうりですぐに姿が見えなくなった訳だ、…いやこれはガスのせいか(笑)
準備を終えて外に出てみると…風スゲェ Σ(゚Д゚;) 、どうしようかな…。
朝食後すぐに出発した女性グループが引き返して来て「この風、ムリ!。」
…でもね、べつに気温が低い訳じゃないんだよね、雨や雪の予報も無いし…
怖いのは道迷いのみ!そして山やのお兄さんのトレースがある!
7:10 よし!行くぞ (`・ω・´)シャキーン!
本来の道は雪で埋もれてるんですよ…。なので強風とガスの中、お兄さんの残したトレースを必死でなぞる。
集中していた証拠に写真が無い、…余裕が無いとも言う。でも脳内でドラクエIIIのフィールド曲が流れていたのは覚えている。イヤ、口ずさんでいたかも…(笑)
あとで調べたら[♪冒険の旅]という題名らしい…
♪タタタターラララン ♪タラララーラララン ♪タタタタラララーン↑ ♪タラララー 、わかるかな?(笑)
8:10 中間地点までたどり着いた。
実はこの直前の鞍部が…細くて風が凄く強くて、10分くらい躊躇していたのだが、反対側からコチラへやって来た年配の方のグループに勇気づけられた。さっそく真似をする。
鞍部の直前で身を低くし、風が弱まるのを待つ!そして弱まったらサッと渡る!
中間地点をすぎて鬼ヶ岩の頭なる所へ登り返す途中。風のイタズラか、ご褒美か、蛭ヶ岳がその姿を現した! ♪バーン
写真ではわからないが、中腹で山やのお兄さんがコチラを振り返ってる。ちゃんと来れたか気にしてくれていたのだろうか?
ありがとう!あなたのトレースをたどってここまで来れました!
あと少し!
脳内BGMはドラクエⅡのフィールド曲に切り替わっている。
♪タ↓ラ↑ラ↓ラ↑ラーン↑…
ま、いいや (´・ω・`)
9:05 出発して約2時間、とうとう山頂にたどり着いた。
神奈川県最高峰 蛭ヶ岳 標高1,672M
風のイタズラか、悪魔の呪いか、さっきの一瞬の晴れ間は何だったの?
でも達成感で一杯だった、だって神奈川県民だから (`・ω・´)
蛭ヶ岳山荘で水を買って少し休憩、小屋主さんがストーブを点けてくれたので濡れた靴の中を乾かす。
小屋主さん、「今日、大倉から一人上がってくるはずなんだけど…これるかなぁ?(笑)」
10:00 1時間程の休憩を経て下山開始。
丹沢山へ近づくにつれ濃くなるガス
残雪は多いが陽気としてはもう春なので雪の下にスキマが多い、少なくとも通ったときは踏み抜かなかった証拠である足跡をなぞるが…どうしてもたまに踏み抜いてしまう。
靴の中が濡れているのはここまで何回か踏み抜いている為。
例の風の強い鞍部を越えて、中間地点まで戻って来た、ほっ。
中間点の先、ちょっと広くなった所にテントを張ってる人がいて…
「いやぁ、宮ヶ瀬から上がって来たんだけどこの先の細い所が怖くてねぇ。今日はここで泊まって明日にするわ。」
やっぱり余裕があるっていいな、時間にも心にも。
ズボッ、また踏み抜いた (´・ω・`)
本来の道はかなりえぐれているっぽい。
1時間45分かけて丹沢山まで戻って来たー!
微妙な時間だが、お昼は…さっき休憩中に行動食たべたからいいや、先へ進もう。
途中、道に迷いかけたが塔ノ岳まで戻って来た、直前の急登がキツかった。
風がスゴイッ!! ちょっと立ってられないくらい。尊仏山荘に入ろうと思ったがこの風の中でアイゼンを外すのがメンドクサイ。
いいや、降りちゃえ!
花立山荘まで降りて来たー、ここまで降りると風もない。
残りの行動食を食べながらアイゼンを外したり、ストックをノーマル仕様に戻したり…。
踏み抜きすぎたのか、買ったばかりのスパッツには穴が開いていた。
そして大倉尾根の名物、かいだーん!が膝に容赦なくダメージを与える。
くそぅ、このバカ尾根! (´・ω・`)
んっ?今すれ違った人って…!?
長いなぁ〜…確か塔ノ岳から6.4Kmあるんだっけ…(´・ω・`)
昨夜みやま山荘で予備と交換したスマホの電池が切れた、外部電池で充電しながら歩く。
最後の砂利道が地味にヒザを攻撃。
でも、アト少し。
いや〜、長かった〜。無事に降りて来たよ〜(´3`)ノ
バス停へ向かう途中では桜が咲いていました。さっきまで雪の中を歩いて来たのが夢のよう。
16:10 蛭ヶ岳をでて約6時間、バス停まで…そして日常の世界へ戻ってきました。
バス停の前のトイレにはタライとたわしがあります…ありがたいなぁ、ゴシゴシ。
駅で立ち蕎麦を食べてから家に帰りました。
蛭ヶ岳からの景色は見られなかったものの、ほぼ初めての雪上歩きは思いのほか楽しい物でした。
むしろ雪の無い季節より楽なんじゃね?とか思ったり。だって本来ならくねくね道だったり、階段がある所も雪で埋まってればまっすぐ進める訳だし段差もないし・・。
などどこの時考えてしまったが故に3ヶ月後、痛い目に遭うのであった。
おしまい
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