2014-6-3.4 尾瀬、燧ヶ岳 再挑戦 [1泊] [燧ヶ岳]
昨年の夏、途中までは登ったものの大雨と雷によって引き返した燧ヶ岳。
6月上旬はまだ残雪の季節なのだが・・・前回、丹沢ですんなりと歩けてしまった事でこう思ってしまったのだ。
「むしろ雪があった方が、まっすぐ歩けるし、段差は無いし、夏より涼しいだろうし…楽じゃん!」ヾ( ゚∀゚)ノ゙
しかし、自分史上最高の難度を誇る燧ヶ岳は甘くはなかった 。
具体的には被害金額2万円くらい…。
1日目 12:40浅草---[東武 区間快速 新藤原行き]---15:13新藤原15:18---[野岩鉄道 会津田島行き]---15:54会津高原尾瀬口16:05---[会津バス]---17:40御池 御池ロッジ[泊]
2日目 御池6:30---8:00広沢田代のへん---9:00熊沢田代---10:50俎嵓(まないたぐら)---11:20柴安嵓(しばやすぐら)11:55---12:10俎嵓(まないたぐら)12:30---13:05熊沢田代13:25---14:10広沢田代---14:55御池
御池16:40---[会津バス]---18:15会津高原尾瀬口18:36---[野岩鉄道 新栃木行き]---19:24鬼怒川温泉19:25---[東武特急 きぬ140号]---21:22北千住
1年前に悪天候で引き返した "燧ヶ岳"、あえて残雪期に再挑戦するのは春先に登った "丹沢" ですんなり歩けてしまったから。
昨年の台風により、"見晴新道は通行止め"(H26.9月まで予定)なので今回は尾瀬ケ原に入らず、御池から燧ヶ岳に登り、尾瀬沼に降りるつもり。
(見晴新道へお出かけの方は、開通情報について各自でご確認下さい。リンク→尾瀬保護財団ホームページ)
昼時の東武鉄道浅草駅、10分前に出る特急に乗っても到着時間は一緒らしいので12:40分の区間快速で会津高原尾瀬口へ向かう。平日だからか?車内は満席にならなかった。
終点の新藤原で乗り継ぎ、ここからは野岩鉄道(やがんてつどう)線。
見た目は何も変わらないけど…。
3時間と少しかかって "会津高原尾瀬口" に到着、さらにここから会津バスで1時間半ちょい…。
駅に併設のお土産屋さんでバスの乗車券を買う、車内で払うより微妙に安いので…。
17:40 浅草から5時間かかって御池に到着、目の前にある "御池ロッジ" に宿泊。
ちなみに、下車するときにちょっと話したバスの運転手さんもこのままロッジに宿泊、明日は沼山峠の乗務があるらしい。
営業所からすんごい遠いからねぇ… 、ごくろうさまです。
はじめて中に入る "御池ロッジ" はいつもの山小屋と違い、旅館やホテルのよう。
まだシーズン前なのかな?宿泊者は6,7名しかいない模様。
晩ご飯を食べてお風呂に入ったらもうやることが無い…明日の朝食は6時だそうな。
あ、やる事あった!「燧ヶ岳への道…雪どうですか?」
なんと!まさに今日、燧ヶ岳に登ってきた方がいた。
「8割方は雪の上…トレースはちゃんとある、アイゼンは…持ってるね。雪が締まっている朝のうちに行っちゃったほうがいいよ!」
ありがとうございます、朝食を食べたらすぐに出発しよう。
翌日、6:30 朝食を食べたので出発、ストックには始めからスノーバスケットを付けてある。
えーと…登山道は、どこだ?(´・ω・`)
あった、駐車場の奥にありました。燧裏林道と燧ヶ岳登山道の共通の入り口が。
熊鈴を鳴らしながら少し歩くと登山道は左へ分岐した。
む、いきなり狭くなった、チョロチョロ流れる雪解け水に逆らって進むと、すぐに残雪が現れる。
雪と土の上を交互に歩く状態なのでアイゼンはまだ付けなくていいや、けっこう急な傾斜が続くうちに道は完全に雪の下へ潜ってしまった。
トレースがわかりずらい、木に結んである目印のリボンも…ずいぶん間隔が開いていて見つけにくい。
道がわからなくなる度に立ち止まり、目を凝らし次のリボンを探す。
そんな事を繰り返すうちに傾斜がゆるやかな場所に出た、広沢田代?かな?
実は帰りに "広沢田代" と名の入ったベンチと雪の無い木道を通っているのだが、行きは見かけなかった。
ずっと雪の上だったけど…どこを通っていたのだろう (´・ω・`)??? 冬道ってやつ?(トレースはあった)
アイゼンを付けさらに1時間ほど結構な斜面を登ると、急に前方の視界が開けた。
先の方には木道を挟んだ2つの池、ここはわかるぞ…熊沢田代だ!
木が無く、日当りの良い熊沢田代は雪が無い、草木が芽吹くにはあとちょっと掛かりそうだ。
それでも鳥のさえずりと暖かな日差し、それにこの景色があれば十分気持ちいい。
雪の斜面を直登してきて疲れた足を休める。
しばし休んで出発、また森の中でのルートファインディングが始まる。前後に人がいないので頼れるのは己の能力のみ!うぅぅ、不安だなぁ (´・ω・`)
途中とんでもない急登とかあったが、また見通しの良い所にでた。
どうやら雪渓を横断する様なのだが…雪渓の上部に人がいるなぁ…?(・ω・)
もしかして一旦雪渓を横切ったらまたあそこに出てくるのかなぁ…??(・ω・)
実はこの時、気温が上がって緩んだ雪に足を取られてだいぶへばって来ていた。アイゼンを付けていても足下の雪ごと流れてしまうのだからいかんともしがたい。
「この雪渓を直登した方が楽そうだな・・・(・ω・)」
雪渓の端の方、薮によって日陰になっており、雪が割と締まっている所を選んで登る、ハァ、ハァ、しんどい。
上部にいる人はその場に留まっている、もしかしたら俺が追いつくのを待っていてくれてるのだろうか?
ハァ、ハァ、ようやく声の届く所まで登って来たら向こうから声がかかった。
「すみませーん、このまま上に登っても行けるんですか?、本当は1本向こうの雪渓を登るらしいんですが…」
・・・・・・ Σ(°д°lll)ガーン!
いや、そんな事いわれても…ワカリマセン(´・ω・`)
聞けば同じグループ内の先行した人が、雪渓上部からムリヤリ薮を突っ切ってようやく本来のルートに戻れたそうで、自分も行くか戻って登り返すか思案してたのだそうだ…。
その人は一旦戻る事にしたようで降りて行きました、いいなdocomoは…山でも通話できて。
疲れて放心状態で取り残される俺・・・。
ハッ!いかん、この姿を見られたら第2、第3の俺が登って来てしまうかもしれん。薮に身を寄せ姿を隠す。しかし濃い薮だなぁ…。
疲れた・・・・・・どうしよう (´・ω・`)
・・・同じグループ内の先行した人は、もっと上の方で薮をぬけたんだよなぁ… トレースあるし…
・・・行ってみるか…
地図を見ると、本来のルートである1本左の雪渓とは最上部でかなり接近している模様、10Mかそれ以下の距離しか無いはずだ。
ハァハァ、最上部に着いた。トレースに従い激薮に突っ込む!
スキマが全然ない!ムギィ〜、無理だー! 戻って出てくる。
ハァハァ、…あれっ!?
ストックが片方、真ん中から無くなってる !
・・・はぁ、行くしか無いか…。
もう一度薮に突っ込む!! ストックの外れた部分発見! 付け直して更に奥へ!
ガサガサ!バサバサ! むっ…人の話し声が聞こえる。あと少しだ!!
バサバサ!スキマから雪面が見えた!となりの雪渓だ!
いつもこういう場面で精神的な余裕が無く、ブログにするときに写真が足りなくて困ってる。今回はこの藪の中で1枚撮っておこう (・ω・)
・・・・カメラが無い (´・ω・`)
この藪の中で落としたらしい!周りには…見当たらない。というか、こんな所で見つかる訳が無い!!
・・・ガーン(´・ω・`)
……ボテッ。放心状態のまま隣の雪渓に転がり落ちる。
ショックだった、バチが当たったのだろう。今でもこの薮のどこかにカメラはある。
というわけで、今回の写真は全てスマホで撮ってたものです。
隣の雪渓に出たらすぐ下に本来のルートを見つけた、先ほどの話し声の主である別グループの人たちがいたのですぐにわかったのだ。
更に左の雪渓にトラバースするようだ、なぜか上から降りて来て後に続く。
このあたりが8合目らしい。
ここで太ももが痙攣してしまった、筋肉が悲鳴をあげている。さすが自分史上最難関の山、いろいろキツイぜ。
立ち上がれる様になるまで休んでから、さらに雪面をトラバースして行く、もうフラフラだ。8合目まで来たという思いが、かろうじて足を前に進ませる。
あれが頂上かな?トレースに従い右へ、もう惑わされないぞ!
右へ回り込んだら、雪が消えた!アイゼンを外して石だらけの道を登る。
振り返ればあれは、会津駒ヶ岳か…。
8合目を過ぎてからそんなに歩いた記憶はないのだが…いきなり山頂にでた!
10:50 燧ヶ岳の山頂…の、一つ。俎嵓(まないたぐら)に到着。
ツカレタ〜! (´・ω・`)
はぁ、なんとかここまで登る事が出来たー。
・・・でも、今回の目的地はここじゃぁ無いんだよね…。
燧ヶ岳は山頂が複数あって、一番高いのはあそこに見える柴安嵓(しばやすぐら)。
登山道は埋もれていて、雪の斜面を登らなければならないが…
ずいぶんと傾斜がキツくない!?
斜面に刻まれた何本ものスジも気になるが…まあいい、行ってみよう。
柴安嵓(しばやすぐら)山頂直下で再びアイゼンを付けて斜面を登る…。
雪が緩んでて流れやすい…、角度の一番急な所に差し掛かった所で…
ズルッ!
アッ!!
アッーーーー!
斜面にスジを1本増やし、初の尻セード体験を強要された。
日に焼けて真っ赤になった腕が雪面で擦れて痛いのなんの!
雪上歩きのでの紫外線は、今までに体験した事が無い程強力だった!、腕、顔、もう真っ赤になっている。
・・・日焼け止め? んなもん歩き始めて30分で流れてしまったよ、汗で。
気を取り直して再び斜面に挑む、今度は直立歩行ではなく四つん這いになって接地圧を少しでも減らす。
ザクッ…ザクッ…ザクッザクッザッザッザッザ…
斜面を登りきった!山頂はすぐソコだ!
11:20 燧ヶ岳山頂、柴安嵓(しばやすぐら)、標高2,356M
ヤッター!、約5時間もかかってしまったけれど山頂まで来る事が出来た、嬉しい。
尾瀬ケ原は残念ながらガスに隠れてほぼ見えず。
あれは…平ヶ岳かな?時間がかかって難しい山。
景色を眺めながら休憩、なにも食べる気が起きない。
本当はこのあと長英新道で尾瀬沼へ降りて、ビジターセンター周辺でうどんでも食べようと思っていたんだけど…だいぶ遅くなっちゃったなぁ…。
しばらく休憩して重い腰を上げる。ここは人がいなくて寂しい、俎嵓(まないたぐら)へ戻ろう。
今度はあの急斜面を降りなければならない、一番傾斜が急な所を越えたら尻セードで行こう。
よし、正面の岩の近くから尻セードだ。…なんか風とガスが出て来たな?
じゃぁスマホをしまって、と…ズルッ!
アレッ? アッーーーーーーー!
・・・・・・・・・(´・ω・`)
・・・・・10秒で降りて来たお…(´・ω・`)
予定よりずいぶん高い所から滑ったが…まぁ、いいや。俎嵓(まないたぐら)へ登り返す。
俎嵓(まないたぐら)には割とたくさんの人が休憩していて、柴安嵓(しばやすぐら)へ行くかやめるか思案中の人もチラホラ。
行くなら荷物をここにデポして空荷でゆくこと、傾斜は四つん這いで登る事、帰りは早いよ(笑)、と真新しい体験談を伝える。
コーヒーを淹れて行動食をとりながら、この後どうするかを決める。
尾瀬沼から沼山峠へ抜けるのでは、最終バスの時間に間に合わない、帰れなくなる。
ここはおとなしくピストンで御池へ戻ろう。
帰りはあえてアイゼンを外し、靴底をスキーに見立てて滑らせる。
登っているときにすれ違った人が、この方法で降りててスゲェ早かったのだ、真似してみる。
正面に熊沢田代が見えているが、まだバランスが難しくて景色を見る余裕が無い。
あの辺にカメラが…でも、諦めよう。
かなり緊張したが、だいぶ早く熊沢田代まで降りる事が出来た。
ここには雪も無く、鳥(と、カエル)の鳴き声だけが聞こえる静かな場所、時間が止まったかのよう。
ベンチにザックを下し、またコーヒーを淹れてたたずむ。
はぁ〜、帰りたくないなぁ (´・ω・`)
たぶん、山頂もこれで見納め。
熊沢田代を後にして、結構な斜面を慎重に降りて行く。目印のリボンを見つけるのは至難の業なのでトレースが頼りだ、…それが正しいルートとは限らないが。
写真では伝えづらい傾斜の具合、お解りいただけるだろうか?。
熊沢田代から下では雪の無い所で "水芭蕉" をたまに見かけた。
トレースをなぞり、雪の樹林帯を歩いていたら…。
また ズルッ!
アッーー! ヤバい! 止まらない!!
ドサッ! 雪面を滑ってきて樹木の根元の地面に放り出された。
いっ痛ぇ…、もう涙目だよ(´・ω・`)
幸い、怪我は無かったが、一旦滑ったらホント止まらない。
トレースも見失ってしまった。
広沢田代へ方角を定めてキョロキョロしながら歩く、あっあれは!?
木道発見!よかった。
やがて雪が無い平地に出て来た、久しぶりに木道を歩く。
途中にベンチもある、広沢田代だ!
でも、登る時に通った記憶が無いんだよなぁ……???
またトレースとリボンを探しながら降りる、GPSがほしい。(スマホじゃ役に立たん)
再び雪の急斜面を降りる、振り返って撮影。
登山道は左端に埋もれているらしい。
すこーしだけ、花も咲いていました。
ショウジョウバカマ
御池まであと少し、ニョキニョキと水芭蕉が生える小川を越える。
反対側を見るとまるで野菜みたいだ。
登山道の出口だ!やはり下りは早い…スリルあったけど (´・ω・`)
今更だけど、登山道の入口がある駐車場。車少ないね。
14:55 俎嵓(まないたぐら)を出発して3時間弱、御池に戻って参りました。
つかれたよー、汗だか雪だかで濡れ濡れだよー 、あと日焼けが痛いよー。
靴洗い場で泥を落とし、衣類を日光に当てて乾かす。
横のバス切符売り場には昨日の運転手さんがいました。
「頂上までいけましたか?」
「はい、なんとか…。もうヘロヘロですが…(苦笑)」
御池ロッジでお風呂に入る、立寄500円、宿泊してた人は300円。
イッテー、当然日焼けが痛かった…。
風呂の窓から、今回最大の水芭蕉群落を発見する。ロッジの裏だった…(´・ω・`)
ゆっくり風呂につかり、最終のバスで山を降りて帰ってきました。
しかし人が少なかったなぁ。
昨年、撤退した燧ヶ岳。今年は無事(無事じゃない?)に頂上に立つ事が出来ました。
雪があった方が涼しいし、むしろ楽!などという幻想は残雪期には当てはまりませんでした、見事に打ち砕かれました。
滑ったら止まらない斜面、見つけられない目印、緩んで流れやすい雪の怖さは、身体の節々の痛みという形でお持ち帰り致しました。
自分の中では引き続き "最難関の山" にカテゴライズされたままの燧ヶ岳。
…でも、頂上に立てて嬉しかった。
おしまい
今回カメラを無くしてしまったのは痛かったなぁ、 防水でもないのに雨の中でも頑張ってくれたいいカメラだったのに…スマン。
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